平成31年3月定例議会報告(平成31年2月22日〜3月25日)

  • 市長・教育長の施政方針等に対する各会派の代表質問を行い、市長から提出された専決処分の報告を「承認」、教育委員会委員の任命議案1件、人権擁護委員候補者推薦議案2件にそれぞれ「同意」し、さらに平成30年度補正予算等に関する議案7件を「可決」しました。
  • 市長が提出した平成31年度予算に関する議案10件および議員から提出された一般会計予算の大型事業に関する決議案、一般議案20件と市民より提出された陳情1件を委員会にて審査し、最終日の採決により、陳情1件を「不採択」とし、それ以外は全て「可決」または「同意」されました。
  • 最終日には議員提出議案9件を採決し、4件が「否決」5件が「可決」されました。

《市長・教育長の施政方針に対する代表買問~市民クラプ》

行政組織としてのガバナンスのあり方について

 (質問)本来、行政の事業計画及び事業実施にあたっては、あらゆる要件を考慮・検討して示されたものを議会と行政が自治の仕組みに従って慎重に審議し決定しているものと認識している。決定の過程において、行政の役割は、その責任の重さに鑑みて、しっかりとした精査の上に成り立っているべきものでなければならず、決定過程の説明責任や事業実施においては貴任が担保されていなければならないと考えます。しかし、最近の市政の課題における行政の議会への対応等は、これまでの病院建設問題然り、伊勢丹撤退に関わる問題然り、今議会でも多くの指摘があるように、様々な大型事業の調査費等の予算が計上される中、その優先順位や概算事業費は示されません。このような状況はその責任の重さに応えうる統治機能が果たされているのか、ガバナンスという点で当局にその認識を伺う。
 (答弁)本市のガバナンスは、政策推進機能・人事組織機能・財務機能を分散管理することでその強化を図っている。政策推進機能としては、各政策課題の解決は総合戦略等に基づき、解決のための決定プロセスを共有し事業を進めている。年3回の政策協議により、大型事業等の重要課題の方向性を確認等を協議し、各事業の優先付けの検討を行い、的確な予算編成につなげられるように取組んでいる。人事組織機能としては、限られた人的資源を適正な組織および定数に配置し、その上で各部署が説明責任に努めている。また財務機能としては、主権者としての住民・住民を代表する組織としての議会・行政を担当する執行機関・執行機関の事務を監査する監査委員によってガバナンスが実現されるものと考えており、所管する財務会計事務を通じて内部統制の強化に努めている。

外環道や北千葉道路の整備に伴うまちづくりのあり方について

 (質問)外環道の開通は、渋滞の解消を始めとし、羽田空港への交通アクセス利便性の向上に大きく寄与しています。そして現在は、その外環道の北千葉ジャンクションを経由して成田空港へのアクセス道路となる北千葉道路の本市域を含む未整備区間約9kmの事業化に向けた手続きが進められている。当該道路の開通は、本市まちづくりに多大な影響を与え、その可能性を広げることになると考える。つまり日常生活の利便性向上が図られるだけでなく、世界の玄関口につながることや移動時間短縮による生産性向上が図られ、商工業など産業のあり方にも影響を及ぼし、さらには新産業の誘致などの可能性も広がります。この機会を捉えて、トータルな視点でどのように活力あるまちづくりに結び付けるべきと考えるか、当局の見解を伺います。
 (答弁)北千葉道路は、平成30年11月に国・県・沿線市で構成する連絡調整会議で外環道から国道16号線までの区間の有料化を含め専用部や一般部の基本構造等の考え方の合意に至りました。その考え方に基づき計画の早期具体化へ向け調整が図られている。当該道路は本市としてネックとなっている成田など東側地域へのアクセス向上に大きく寄与し、成田空港との直結により流通産業の拠点としてのポテンシャルが大きく向上すると考えます。それらに伴うまちづくりは重要な課題と考えますので、策定中の都市計画マスタープランに加味し、慎重かつ丁寧に検討していく。

《予算審査特別委員会》

一般会計予算の大型事業に関する決議を可決!

 平成31年度般会計予算案は、1,561億8,000万円(伸長率5.7%)で提案され、原案の通り可決いたしましたが、次々と表明する大型事業の優先順位や概算事業費の説明もなく計上してきたその調査費用等は今後さらに精査する必要があるため、その方向性と予算執行に関する責任を担保するために、議会から決議文を提出し可決した。以下その決議文を全文掲載いたします。


平成31年度松戸市一般会計予算の大型事業に関する決議

 平成30年3月定例会に提案された当初予算案は、市長が表明した大型事業の提案がいくつかあった中で、議会として優先順位をはじめ、事業費の内訳を示すよう求めていたが、審査の中では明らかにされず疑問が解消されない点があり、予算を修正可決した経緯がある。しかし、今年度においても市長からの施政方針の中に大型事業が盛り込まれているにもかかわらず、優先順位やその事業費の予算の根拠について、代表質問等で問うても何も明らかにされなかった。市政運営をつかさどる責任者として、財政状況を十分に考慮した上で、事業執行に当たる責務があるにもかかわらず、すぐさま全ての事業が遂行できるような印象を市民に与えることになりかねない状況を招いたことは許しがたく、かつ議会の質問に真摯に答えてこなかったことは、二元代表制の議会の役割である行政監視機能を否定するものであり容認できない。
 このままでは予算審査に影響を及ぽすことが懸念される中、予算審査特別委員会の審査冒頭において、やっと市長が述べたことは、最優先で取り組むのは市役所庁舎の移転建替、新松戸東側地区の土地区画整理事業の2つの大型事業とごみ処理施設建設であった。それ以外の大型事業については、これまで実施してきた基礎調査や新年度実施予定の調査委託等の結果を見極めるとともに、財政状況などもみながら、慎重に判断していきたいとの見解である。一方、市議会に示された後年度にわたる財政状況予測や近い将来必要となる公共施設再編整備等の財源も併せて鑑みると、最優先事業を進めることにより財政の柔軟性が失われてしまい、その他の大型事業については、最優先事業が終了するまでは、着手困難であることが明らかにされ危惧するところである。
 したがつて、その他の大型事業に計上されている調査費については、その調査手法や内容について、状況によっては、その執行についても慎重に検討を要することが必要である。
 よって、本市議会は、執行機関に対し、その他大型事業の調査費の執行について、議会からの意見を真摯に受け止め、適切、適格な対応を執るよう検討を行い、本年6月定例会までにその検討結果の報告を求めるとともに、優先度が高いとされた2つの大型事業についても適時、進捗状況等、情報提供に努め、議会との合意形成を図った上で、事業実施していくよう強く求めることを、ここに決議する。

千葉県松戸市議会


◆平成30年度予算についての指摘事項◆

公共施設再編整備推進事業では、松戸市公共施設白書で「市が所有する約3分の1の建物について、大規模修繕や建替えを実施することが困難な状況にある」と明示したにもかかわらず、公共施設再編整備基本計画(案)では、財源や将来費用の試算を踏まえた「財政負担の縮減と平準化」への言及がなく、当初の危機意識が薄らいでいるように感じます。今後計画を進めるにあたり、財源などのリアルな数字を「見える化」し、地域住民と危機意識を共有しつつ連携し、新たなまちづくりに取組むよう指摘しました。また、公共施設再編の有効な手法として包括外部委託制度導入を提案しているので、その具現化を強く要望しました。
地域共生社会推進事業では、福祉まるごと相談窓口をはじめとする人材育成、同時に窓口を支える包括的相談支援体制の強化を要望しました。
道路改良事業では、都市計画道路3・3・7号線の関さんの森の横に開通している暫定市道の歩行者安全確保のための歩道拡幅に関わる補償費および測量委託料が含まれており、安全確保の観点から拡幅については認めますが、なぜ今頃拡幅を行おうとするのか、当初開通させる時に当然に広くしておくべき事案です。実は、今回の拡幅は再び関さんの森の所有者の自己都合によるものであることが裏にあります。暫定市道を都市計画道路に変更させ、森の中にある都市計画道路の計画線を消してしまいたいという思惑があり、そのためには歩道の拡幅が必要であるからなのです。この道路の開通に反対し続けることで自分たちの思惑通りになるようなことを許すようなことがあれば、今後、土地区画整理事業や道路用地などの公共用地取得に協力する人はいなくなります。このあと都市計画審議会の審議に委ねますが、このようなわがままを通すための都市計画変更は認められないことを指摘いたしました。
歳入では、財源構成は下記の通りでありますが、都市計画税が本市は税率が0.23%であるのに対し近隣市の多くは税率が上限の0.3%です。仮に本市も上限の0.3%に引き上げると12億円ほどの増収が見込めることがわかりました。大型事業の政策実施に伴い今後は税のあり方を見直すべきと指摘いたしました。