令和6年3月定例議会報告(2月22日〜3月25日)

  • 市長の施政方針、教育長の教育施策方針に対する各会派の代表質問を行いました。
  • 市長から提出された専決処分1件の報告を承認、人権擁護委員候補者の推薦議案2件に同意、さらに令和5年度補正予算案10件、令和5年12月定例会で継続審査となった一般議案2件を可決し、一般議案1件に同意しました。
  • 市長から提出された令和6年度予算に関する議案12件、条例などの一般議案24件、市民の方から提出された請願1件を、それぞれの委員会で審査いたしました。
  • 最終日には上記議案の採決が行われ、予算については修正案否決、原案可決、一般議案を可決、請願1件を採択としました。このほか市長から提出された教育委員会教育長の任命議案1件と固定資産評価員の選任議案1件を同意、議員提出議案14件を上程し、8件が可決、6件が否決されました。

《令和6年度予算審査特別委員会》

 予算審査特別委員会は、令和5年度各会計予算12件を承認いたしましたが、そのうち松戸市一般会計予算は、1,839億5,000万円で提案され、修正案が提案されましたが否決し原案通り可決いたしました。我が会派も全会計予算に同意いたしましたが、審査の過程で主要な事業に対し意見を述べさせていただきました。それらは、最終日の賛成討論で賛成理由および意見表明いたしましたので、以下抜粋して報告いたします。

令和6年度の財政見通しについて

 歳入の根幹をなす市税は、国の定額減税実施の影響により個人市民税が減額となるため、予算額は前年度比約10億円減の712億500万円と見込まれています。しかしながら、歳出においては、保育園等の運営支援や高齢者・障がい者に対する支援などの扶助費等の義務的経費の増加、国の制度に基づく低所得者への給付金事業の実施や児童手当の拡充の対応など社会保障費の増加、未来への投資としての新拠点ゾーンや新松戸駅東側地区のまちづくり、学校給食運営事業やスポーツ施設や体育館の空調設備の整備に向けた事業も行う中、足元の物価高の影響により経常的経費の比率が高く、依然として財政運営の自由度は高くない状況である。そうした中、行政サービスと財源のあり方として、一度始めたサービスはやめることが難しく、公助・行政としての守備範囲をしっかりと守っていくことが重要である。加えて、数々の大型事業が提案されていますが、今を暮らす市民生活を守ることを最優先に、特に新しい清掃工場の一日でも早い着工を、しっかりと取組んでいただきたい。

総務費について

《町会・自治会のデジタル化推進事業》
 子育て世帯向けに運用している松戸市公式LINEアカウントを全市民向けにリニューアルすることによる「電子回覧板」の導入など、町会・自治会のデジタル化推進の予算が計上されています。全市民が本市や町会・自治会の情報を容易に取得でき、地域コミュニティに参加する市民が増えるよう期待します。また、あわせてデジタル化に対応できない人への丁寧な対応もお願いいたします。
《市民参加型街頭防犯ネットワークカメラのサーバーのバージョンアップ》
 犯罪抑止の一助を担う市民参加型街頭防犯ネットワークカメラのサーバーが、通信方式の主流となっているIPバージョン6にバージョンアップされるとのことで、より多くの方が参加しやすい環境が整ったことで、更なる犯罪抑止につながり、市民の安全安心の暮らしが守られるように期待します。

《いじめ相談窓口の市長事務部局にも設置》
 教育委員会に設置されていた「いじめ相談窓口」を学校現場だけに留めず、市長事務部局にも設置し、LINEを活用した相談支援の取り組みを始めた。学校現場の忙しさの緩和や外部の眼を入れた解決に向けて、子どもたちに寄り添う取り組みをお願いします。

民生費について

《ヤングケアラー支援事業》
 ヤングケアラー支援では、相談体制を強化する取組みとして、相談レターを配布して相談するきっかけを作るなど、課題解決に向け職員の創意工夫を凝らしている点を評価いたします。これにより一人でも多くのヤングケアラーとなっている子どもの支援につながるよう期待します。

《子育て世帯訪問支援業務》
 児童虐待を早期に発見する取り組みとして、子育て世帯を訪問していますが、前年度1件の虐待が疑われる事案に対応されたとのことです。引き続き周囲からの孤独や虐待リスクを未然に防ぐ取り組みに期待します。

《老人クラブ育成指導事業》
 クラブ数および会員数の減少が喫緊の課題となる中、Eスポーツ体験会に参加するなど、新規会員増強に向けた新しい取り組みを実施されています。様々な体験してもらい楽しい思いを共有できるような仲間づくりにより、孤立しない、させないための積極的な取り組みに期待します。

《女性のためのつながりサポート業務》
 女性のための居場所「野の花カフェ」を年9回の開催から、年12回に拡充するとのことです。毎回多くの参加者があり交流が生まれており、困難や不安を抱える女性には好評と聞いています。今後もしっかりと取り組んでいただくとともに、より周知が図られるようお願いします。

衛生費について

《新焼却施設建設に伴う土壌汚染調査業務委託料について》
 令和3年度3月定例議会での「新焼却施設に関する決議」を受けて昨年度予算には新焼却施設の建設に向け、施設の規模や概算事業費等を算出するための調査や環境影響評価を実施する予算が計上され、順調に事業進捗中とのことです。今年度は土壌汚染調査業務委託料の予算が計上されました。これも順調に事業を進めることは当然ですが、少しでも早く次の事業に進められるような創意工夫し、次の作業の準備など早く進められるようお願いいたします。次の事業が早く進められるようであれば、次年度の予算を待つことなく補正予算などで対応するよう強く要望します。これ以上長引くことのないように事業の着実な推進をお願いします。

農林水産業費について

《後継者育成支援と新規補助金》
 後継者育成支援としては、これまで「婚活」や「婚活アプリ」など行ってきましたが、思うように成果が上がりませんでした。今年度は農業者として望む支援をアンケートによる意向調査を実施していくとのことですが、的確な支援につながるよう実施方法を検討し、取りまとめた上で新たな支援策を早急に実施してほしい。また、環境負荷軽減できる「生分解性マルチフィルム」の利用を促進するため費用の一部を補助します。これは農業者にとっても労力を大幅に軽減し、廃棄コストの削減にもなるとのことで期待しています。更には、資材や燃料などの物価高騰の中、農業政策への支援の検討をお願いします。

土木費について

《新拠点ゾーンまちづくり用地取得業務》
 令和5年臨時議会で、用地取得の補正予算を我が会派は否決いたしました。その際に4点の反対理由を討論で申し上げましたが、その4点がほぼ解決できるような提案であったため今回はこの予算に賛成いたしました。新しい提案では、敷地面積の狭さについては、現本庁舎のうち耐震化基準を満たしている別館と議会等を現地に残して引き続き使用し、本館と新館のみを移転し建築面積を約20,000㎡と縮小することで解消でき、周辺環境についてはS字道路の拡幅とS字道路坂下交差点の改良を行うこと、駅前の活性化については松戸駅周辺のイベント会場やパブリックビューイング会場等へ活用するなど、閉庁日でも気軽に市役所を訪れる工夫をされることで、3点については課題をクリアできる見通しが立ちました。公共施設再編およびそれに関わる市の業務・組織体制の見直しについては、第2ステップとして新拠点ゾーン南側の区画整理地活用の際に実践していくことを確認いたしました。来庁者や市職員の安全のためにも一日も早い新庁舎の建設を進めるよう要望いたしました。

消防費について

《二十世紀が丘消防署建替え》
 これまで公共施設再編事業の計画の中で他の施設との複合化による建替えが検討されていましたが、この計画が一向に進まず、このまま放置すれば消防署としての機能不全に陥る危険性がでてきたため、我が会派は、この計画から切り離して単独での建替えを進言し予算に反映されました。
《その他の新規事業について》
スマートフォンを利用した119番映像通報システムの導入、災害状況や事故状況確認のためのドローン購人費、救急出動件数平準化のための救急車両の1台増車とそれに伴う増隊のための増員予算他が計上されました。予期できない災害や増え続ける救急需要に対応し、引き続き市民の命と財産を守る活動に期待します。

教育費について

《旧根木内東小学校スポーツ施設整備基本計画委託料》
 旧根木内東小学校跡地にサッカーとラグビーが併用できるグラウンドとアーバンスポーツ施設を整備する基本設計委託料を予算計上してきました。まずはしっかりと地域住民への説明会等を行い、その理解のもとに進めてほしい。また幅広く市民が利用できるためにも、各カテゴリーでの公式大会が開催できるような規格のグラウンド整備が必要であり、そのことで松戸市のスポーツ振興が図られると考える。

《文化スポーツ部の新設》
 これまで教育委員会に設置していたスポーツや文化を所管する部署を、市長部局にある文化振興の部署を統括して、市長部局に文化スポーツ部として新設しました。文化やスポーツに期待される役割が教育分野に留まらず広域的になっており、今回の新設で、プロスポ一ツの誘致や健康づくり、文化・スポーツを通した地域コミュニティなど、更なる促進につながることを期待する。

《市民クラブ代表質問から》

 市民クラブの代表質問は、210分の持ち時間があり、今回から3人で振り分けて行うことが許されましたので、深山・市川・渋谷議員の3人がリレー方式で行いました。会派全員で質疑内容について協議し意見をいただき、精査した上で行われました。以下内容の一部を抜粋して報告いたします。

新松戸東側のまちづくりについて

(質問)新松戸駅東側地区土地区画整理事業の完成は、新松戸住民や商店会連合会が最大の関心事としている新松戸駅への常磐線快速停車を実現させるための呼び水として期待している。それは新松戸地域の地域経済の活性化のみならず、松戸市の都市としての価値も上がっていくものです。そのため一日も早い完成が待たれていますが、この区画整理事業に先んじて工事が始まっている都市計画道路3・4・18号馬橋根木内線の工事についても様々な課題が生じていると聞いており、工期の遅れにより最終の完成にズレが生じないか心配しています。両工事の進捗状況と今後の予定と見通しについて見解を伺う。
(答弁)現在の状況としては、土地利用計画の修正を検討しており、修正内容としては立体換地建築物敷地が土砂災害特別警戒区域に掛からないよう、敷地を周回する道路を整備し、駅前にバス停やタクシー等の乗降場等の交通機能を確保するよう計画している。土地利用計画修正に伴う事業計画の変更については、現在認可に関する手続きを行っている。また地権者との協議状況では、土地利用計画変更の内容を示し、事業後の生活設計や換地の意向について、具体的な話し合いが進められてきており、令和6年度中の仮換地指定を目指している。なお、全体の事業スケジュールについては、地権者と合意形成を図りながら10年度のまちひらきを予定どおり目指していく。

大規模火災と初期消火について

(質問)能登半島地震では、輪島市で大規模火災が発生した。報道によると、この火災拡大の要因には、水道管の損傷などによる消火栓の使用不能をはじめとした、消火活動を阻むいくつもの想定外があったとのことで、初期消火の重要性が改めて認識されるところです。そこで、初期消火の重要性を周知するための防災訓練の啓発や消防水利の整備率や耐震化率などを踏まえ、今後の整備方針を伺う。
(答弁)初期消火については、関係課と協力し町会や自治会等が行う防災訓練などへ積極的に参加し指導していく。またSNS等を通じて消火器の使い方を動画アップして指導していく。消防水利の総数は6,125箇所設置されていますが、地震災害時の消防活動において水道管が使用不能な場合、消火栓以外の防火水槽等を活用する。防火水槽は842箇所、その他の水利は85箇所、防火水槽の整備率は94.9%、耐震化率は91.4%ですが、現状の消防水利の充足率に満足することなく、計画的に設置していく。

常盤平のまちづくりについて

(質問)常盤平の大きな課題は、常盤平団地の高経年化と住民の高齢化、常盤平や五香駅周辺等の活気低下、常盤平第一小学校の児童数減少などがあります。常盤平地域のまちづくりとして、地域再生を実現していくことで課題の多くは解決できると考えます。更には松戸市の発展に大きく寄与するものと確信しています。常盤平地域の今後のまちづくりにどのように着手していくのか本市の見解を伺う。
(答弁)常盤平地域の再生においては、ソフト・ハードともに必要不可欠なものとして「常盤平地区等まちづくりプロジェクト会議」にて庁内関係部署において横断的な議論を行っているほか、令和5年度より専門の担当室を立ち上げ、ハード面における体制強化をしてまいりました。地域の強みを活かしつつ課題が解決できるよう、常盤平駅を中心とした賑わい・住宅・みどりなどの資源・道路交通網など、広域かつ多角的な検討を行っている。今後はサウンディング調査等を活用した民間事業者の意向確認や、UR都市機構などの地権者と意見交換を重ねながら、地域のまちづくり方針の策定を進めていく。

こども誰でも通園制度について

(質問)こども誰でも通園制度のモデル事業に手を挙げた背景、事業の成果および今後の方向性について本市の見解を伺う。
(答弁)背景については、本市が未就園児の家庭を支援することは、虐待予防の観点からも大きな効果があると考えていたが、一方で子どもの育ちを応援し、家庭の育児負担軽減を図ることを目的としたモデル事業に手を挙げる意義はとても大きいものと考えている。事業の成果については、保護者から保育士や児童の関わりの中で基本的な生活習慣や社会性が身に付いた等の声があった。今後の方向性については、令和5年度は国から制度の本格実施に向けた試行的事業の公募があり、本市も手を挙げ採択された。今回の事業では、公立保育所3箇所に加え民間保育所への拡充も検討している。試行的事業を通じて課題を整理し、国に対しても積極的な意見や提案をしていきたい。

北千葉道路の進捗と周辺エリアの将来計画について

(質問)令和3年3月に事業化が決定された北千葉道路は、本市の今後の発展に欠かすことのできない事業で、そのアクセス道路として本市を縦断する都市計画道路3・3・7号線は、市内の交通利便性を向上させることができると期待されています。事業の進捗状況と課題について伺います。また、北千葉道路と都市計画道路3・3・7号線の開通後の周辺環境についてですが、都市計画マスタープラン市外化調整区域編では産業立地の可能性が検討されています。北千葉道路周辺の具体的な産業誘致など、開通後の街並みのイメージをお聞かせ下さい。
(答弁)まず両事業の進捗状況ですが、北千葉道路については、首都国道事務所から道路設計を実施していると聞き及んでいます。都市計画道路3・3・7号線河原塚紙敷区間については、令和6年2月末現在、事業面積18,272㎡のうち約87%の15,880㎡の用地を取得している。今後も地権者様と信頼関係を構築しながら用地交渉を進め、令和6年度末までに用地取得完了をめざす。工事につきましては、工事難易度の高いJR隣接部の事前協議を継続していく。
次に、北千葉道路開通後の周辺環境についてですが、その整備効果は交通環境の改善のみならず「地域間の交流連携」「災害時における緊急輸送ネットワークの強化」「国際競争力の強化」「商工業の振興」など、地域の活性化に寄与されることが期待されており、本市の発展のためにも大変重要な道路であることから、その周辺のまちづくりについては、大部分が市街化調整区域であり、これらの地域をどのように活用できるかが大きな鍵となります。そこで現在、策定に向けて検討している都市計画マスタープラン市街化調整区域編の中で、周辺環境に配慮しながら先端産業成長産業等の本社機能生産機能・研究開発機能を備えた施設などの立地を許容・誘導をするほか、同地域の北総3駅周辺エリアでは、住宅・商業・業務系土地利用を許容・誘導することなどを位置づけており、地域機運の高まりを踏まえ、経済の活性化や雇用の創出、駅周辺にふさわしい都市基盤の整備や生活環境の充実など目指していきたいと考える。

 

次回の6月定例議会は、6/12(水)から6/28(金)です。
議会事務局に問い合わせの上、傍聴にお越し下さい。