令和5年3月定例議会・令和5年5月臨時議会
令和5年3月議会報告(2月21日~3月23日)
- 市長から提出された教育委員会委員の任命議案1件、農業委員会委員の任命議案14件をそれぞれ同意、このほか先議議案として提案された令和4年度補正予算案10件を本会議にて採決し可決されました。
- 市長から提出された令和5年度予算に関する議案12件、一般議案15件、市民より提出された陳情1件を各委員会で審査いたしました。一般会計予算審査では「美術文化関係事業」の一部予算について予算措置理由が認めがたいとして委員から修正案が提出され、可決しました。
- 最終日には上記議案の採決が行われ、予算については修正案を含め可決、一般議案を可決、陳情1件を不採択としました。このほか議員提出議案11件を上程し、6件が可決、5件が否決されました。
《令和5年度予算審査特別委員会》
予算審査特別委員会は、令和5年度各会計予算12件を承認いたしましたが、そのうち松戸市一般会計予算は、1,694億6,000万円で提案されましたが、美術品管理業務の中のマイセン磁器展示関係経費7,423万5千円を修正削除し、1,693億8,576万5千円で承認いたしました。我が会派も修正案ほか全会計予算に同意いたしましたが、審査の過程で主要な事業に対し意見を述べさせていただきました。それらは、最終日の賛成討論で賛成理由および意見表明いたしましたので、以下抜粋して報告いたします。
令和5年度の財政見通しについて
歳入の根幹をなす市税は、これまでの施策の効果も相俟って、新型コロナウィルス感染症流行以前の水準を上回り過去最大となることが見込まれている。しかしながら、歳出においては待機児童解消を含む保育施設の充実に取組んでいることや、高齢者・障がい者に対する政策の充実を図っていることによる扶助費等の義務的経費の増加、足元の物価高の影響により経常的経費の比率が高く、依然として財政運営の自由度は高くない状況である。そうした中、行政サービスと財源のあり方として、一度始めたサービスはやめることが難しく、公助・行政としての守備範囲をしっかりと守っていくことが重要である。加えて、数々の大型事業が提案されていますが、今を暮らす市民生活を守ることを最優先に、公共施設再編整備をきちんと精査し、特に清掃工場の更新や常盤平地区の再生などを先送りせず、しっかりと取組んでいただきたい。
マイセン磁器展示関係経費7,435万5千円を修正削除
この展示関係経費は、森のホール21の以前カフェがあったところにマイセン磁器の展示ギャラリーを整備するというものでしたが、展示のためのケースや展示台などに約7,000万円、維持管理の経費に年間約1,000万円ということです。まずは、これだけの費用をかけることに市民の理解が得られないこと、またこの場所はあくまでもホール来場者がゆっくり過ごせる場所として、次の出店者を早く探すべきであると思いますので、このようなギャラリーとして固定するべきではないこと、寄贈していただいた方の思いを酌んでもっときちんと展示するならば、博物館や今後設置する考えのある美術館にそのような場所を求めるべきで、あまりにも拙速な提案であったことから、修正削除いたしました。
民生費について
昨年度と比較して約11億円の増で、一般会計予算における構成比も51.8%を占めることになり、国の政策や市民からの新たなニーズへの対応などが要因と考えられます。そのような中で、特に障がい者や高齢者への介護従事者、加えて地域の居場所やグリーンスローモビリティなどの地域活動においての担い手不足に課題がありますので、人材の確保に工夫と協力をお願いしました。また、子どもの貧困対策推進業務につきましては、子ども食堂について、子どもの貧困対策が主の役割ではありますが、地域の居場所としての役割も担いつつありますので広い視点で事業の展開を図っていただきたい。
衛生費の新焼却施設の建設事業について
令和3年度3月定例議会での「新焼却施設に関する決議」を受けて今年度予算には新焼却施設の建設に向け、施設の規模や概算事業費等を算出するための調査や環境影響評価を実施する予算が計上されました。対応が遅すぎることを厳しく指摘し、これ以上長引くことのないように事業の着実な推進をお願いしました。
農林水産業費について
耕作放棄地および遊休農地の解消に更なる検討や検証をお願いしました。また、今年度予算には、経営の安定化を図るために新たに農業用資材費補助金を創設していただきましたが、物価高騰という危機にさらされていることから、補助金の活用状況や要望をよく聞いていただき見直さなければならない部分があれば早急に対応していただき、農業政策への更なる支援をお願いしました。
消防費について
審査の中で、消防団の東葛飾支部操法大会の会場が日立教習所跡地を借りることになりましたが、その理由が訓練センターのグラウンドの水捌けが悪く使用不能になる可能性が高いためであることが判明いたしました。これに対し訓練センターは、操法大会や出初式などだけではなく、災害の際には県外から来られる支援部隊の宿営地としても活用されます。更には、消防職団員が市民を守るための日常訓練を行う大変に重要な施設です。早急に水捌けの悪い原因の調査を行い、抜本的に改修整備していただきたい。これは財政当局にも優先順位は高いと思われますので予算についての配慮をお願いしました。
教育費について
医療的ケア児に対する先進的な取組みなど、子どもたちの育ちに関連する様々な教育施策に創意工夫がなされていること、学校と地域が一体となった取組みが進んでいることを評価します。
スポーツ施設整備調査業務委託については、未だ明確な長期ビジョンが示されていません。
そもそも公共施設再編整備計画や学校施設長寿命化など、優先順位の中で財源確保が必須の課題のはずなのに、多様化するスポーツニーズに対応するための施設が本当に必要か、まだまだ議論の余地があります。新しいオリンピック種目だからといって安易に施設整備を急ぐのではなく長期的な視点に立って検討するようお願いしました。
《市民クラブ代表質問から》
市民クラブの代表質問は、幹事長末松裕人議員が会派の皆様から質疑内容について意見をいただき、精査した上で行われました。以下内容の一部を抜粋して報告いたします。
定年延長制度導入に伴う人件費の推移について
(質問)今後、本市の人件費に与える影響および人事構成のスキームにおいて活力ある組織をどう維持するのか見解を伺う。
(答弁)国家公務員法および地方公務員法の改正に伴い、令和5年4月から地方公務員の定年年齢が2年ごとに1歳ずつ段階的に引き上げられた。65歳定年となる14年度と4年度当初予算を比較すると約3億円の増額となる見込みである。活力ある組織の実現として、定年引き上げの趣旨である複雑高度化する行政課題への的確な対応等の観点から、能力と意欲のある職員を最大限活用していくものとしており、また次の世代に知識・技術・経験等を継承していくため、60歳を迎えた職員については、経験を活かせる配置等に努めるとともに、モチベーションを保つために研修等を実施していきたい。
病院経営の現状評価と課題について
(質問)市立東松戸病院の廃止が決定し、病院事業再編に係る諸問題の解決に向け新たな段階に進むことになるが、現状課題と今後の展望、地域課題について伺う。
(答弁)市立総合医療センターについては、令和3年度は経常損益を黒字化することができ、これは医業収益の拡大に取り組んできた成果でもある。今後の展望・課題としては、新型コロナウィルス感染症の感染症法の分類が5類に引き下げられることから、通常医療を行える病床を拡大し、さらなる経営改善につなげていきたい。また東松戸病院・梨香苑からの機能移転については、スタッフの異動計画を策定するとともに、別棟建設に向けた基本設計を進めており、病院機能を高めていきたい。廃止後の跡地活用については、地域に喜んでいただけるように取り組んでいきたい。
市街化調整区域における土地利用方針の策定について
(質問)市街化調整区域の土地利用を考えることは、本市を持続可能な都市としての成長には必要不可欠だと考えるが、土地利用方針の策定についての見解を伺う。
(答弁)本市の市街化調整区域は、地区によってその成り立ち等が異なり、地区に応じた土地利用の考え方や方針を示す必要があることから「松戸市都市計画マスタープラン(市街化調整区域編)」の策定に向け検討を進めている。今後は地権者アンケートのエリアの絞込みと松戸市都市計画審議会での議論や庁内関係部局とも連携を図り、市の政策との整合性を踏まえ、令和5年度に方向性を示すことができるよう取り組んでいく。
デジタル社会の実現について
(質問)松戸市が目指すデジタル社会の構築について、全体像や課題と外部の人材の活用について見解を伺う。
(答弁)本市が目指すデジタル社会の構築の全体像としては、松戸市行政デジタル化ビジョンの基本方針に示すとおり「はなれていてもつながる」スマート市役所、「はやい・シンプル・セキュア」なスマート行政、「安全・安心・便利・快適」なスマートシティを目指すものである。主な課題は事業者のシステムエンジニア不足が全国的な課題があると認識している。外部人材の活用については、データ活用や新たな価値を創出する従来の自治体職員にはない考え方が必要であるため、本市ではコンサル事業者に全体的な支援を委託し事業者との協議や指揮も適切に対応できているものと考えている。今後も外部の専門家の登用については継続して検討を行っていくが、内部からの人材育成も重要であると考えている。職員に対する専門性の高い研修も予定している。
教員の働き方改革について
(質問)学校現場の多忙化の要因と解消するための方策について見解を伺う。
(答弁)教職員の多忙化については授業準備や保護者対応、部活動等、本来の勤務時間内では終わらないほど業務過多になっていることが一因であり、教員不足も多忙化に拍車をかけている。そこで市教育委員会では、教職員を支援する人材派遣として、市内全小中学校へのスタッフ配置を継続するほか、スクールソーシャルワーカーやIC支援員の増員により、教職員の多忙化解消を図っていく。またテスト自動採点システムの試験的導入、地域人材の活用、学年担任制や教科担任制の推進等により、教職員の負担軽減に努めていきたい。
令和5年5月臨時議会報告(5月24日〜26日)
- 市長から初日に専決処分の報告および承認議案3件が提案され、即日採決され全て同意されました。さらに市長から一般議案として、市役所用地として未利用国有地を購入する「財産取得について」が提案されました。すぐに庁舎整備に関する特別委員会が開催されました。
- 最終日には、上記議案についての採決が行われ、賛成少数で否決されました。
議案第4号 財産の取得について
この議案は、市役所用地として未利用国有地(新拠点ゾーンにある区画整理事業施行地区仮換地5街区1画地、地積8,745.00㎡)を、30億2,000万円で売却していただける協議が財務省と整ったため契約をしたいということで提案されたものです。松戸市はこの土地を活用し、施設の老朽化が著しく耐震性にも問題のある市役所を再整備することにより、利用者および職員の安全を確保するとともに、大規模災害時には隣接する公園など周辺施設と連携し相乗的に補完しあう災害対応拠点として活用するためという提案理由を述べられました。そのあとすぐに「庁舎整備に関する特別委員会」に付託されが行われました。委員会では、現地での建て替えを主張する委員から、市役所の住所移転に係る特別議決(3分の2の賛成が必要)をなぜ一緒に出して来ないのか、手続きが納得いかないという理由で何としても否決して現地に建て替えさせようと長時間の質問がなされました。また一方では、土地の広さは審議会からの答申どおりの建物は収まることで問題はないとして、より早い期間でより安価に建設でき、いつ起きるかわからない大規模災害に対応できるようにするためにも、今回、この土地を購入に賛成するべきという立場で質問がありました。我が会派市民クラブは、この土地をまちづくりのための用地として購入することには以前から賛成であり、現地に建て替えるよりこの土地に建て替えることの優位性は認識しています。何としてもこの土地は購入するべきと考えますが、公共施設再編のまちづくりのためであり、そのひとつとして市役所の用地として検討していくべきであることから、市役所の用地として購入するならば質疑において十分な答弁をいただけなかったため、今回の提案に対しては反対を表明することにいたしました。結果、本会議においての採決は賛成少数で否決となりましたが、ただ感情論で現地に建て替えたいことを主張している会派と同じ思いではないことは討論において表明いたしました。一刻も早くこの土地を購入するための修正された提案をお願いしたい。
市民クラブの反対理由の討論(抜粋)について
討論は特別委員会の委員である深山議員が行い、反対理由を以下4点にまとめました。
①敷地については、提案された8,745㎡にはがけ部分を含みます。がけ条例の適用外にするためには30度傾斜のがけに施工しなければならず、その場合、建築に使用できる敷地面積は約5,230㎡になり、ここに市庁舎37,000㎡と駐車場棟5,675㎡を建築することはできるとの答弁ですが、決して安全な建て方とは思えなかった。
②接道状況については、北側の道路しか接道していないため危機管理上の安全性が担保できない。またこの道路はS字道路で双方通行の道路へと拡幅するとのことだが、その下の交差点の改良はしないため交通渋滞が簡単に予想できること。
③新拠点ゾーンの整備は駅周辺地域の賑わいを生むためですが、新拠点ゾーン全体で考えるべきで市庁舎のみを建てることで回遊性や賑わいにつなげるという説明は現状の市庁舎の状況からも無理がある。
④駅周辺に残される市民会館など多くの既存施設について、公共施設再編整備の考え方を新拠点ゾーンへどのように取り入れていくのかビジョンが示されない。
最後に、今回の提案後否決により土地を契約ができない場合でも、直ちに現地建て替えに舵をきることはないとのことでしたので、国との交渉可能な期間においては、議会からの意見を受け止めて改善した提案をするべきと指摘いたしました。